事象
CPUクーラーに簡易水冷で12cmファンが3連搭載しているCorsair iCUE H150i RGB PRO XT CW-9060045-WW を選定、Ryzen 7 5800Xを冷却しているが、どうも冷えない。5800Xは熱密度が高くて冷えにくいなどと言われているが、CPU負荷をかけるとすぐにサーマルスロットリング状態になってしまう。この状態でCPUクーラーの監視ソフトである iCUE で水枕の温度状態をみたところ、29℃とかなり低い。このため、ポンプ、ファンともに最低の回転で冷却をしていないようにみえる。
調査
問題の切り分けを行う。可能性をあげてみる。
- CPUクーラーをきちんと固定できておらず熱伝導率が低い
- CPUグリスの塗りが悪く熱伝導率が低い
- 水冷ヘッドの温度センサーが壊れている。
- iCUE のバグで温度センサーを読み間違っている
これを踏まえてやったこと
- CPUクーラーの固定状態確認
固定はプラスドライバーで行うのだが、トルク指定が記載しておらず、無理にきつく固定するとマザーボードがたわみ、メモリなどの認識異常になることがある。バックプレートが上部ならリスクは低いのだが、アナログ調整は難しい。ほどほどにきつく固定してあることを確認しOKと判断した。 - グリス塗布状態確認
薄く塗りすぎた感がある。いったん拭き取り、脱脂して再塗布した。だが、事象の状態変化なし - 水枕の温度センサーの温度確認
室温22℃
マザーボード温度40℃
低負荷時のCPU温度40℃ → 水枕の温度29度
高負荷時のCPU温度90℃ → 水枕の温度30度 ほとんど変化しない - iCUEの最新版適用とネット上での評判を確認 特に問題なし
温度センサーが壊れている可能性が高いので、購入元のサポートサービスに連絡、あとで送り返す。
手動制御で冷えるか?
iCUEでパフォーマンス設定ができるので、全速力では動作しないかもしれないが、最速設定をすれば、ポンプとファンの回転数を静か/安定よりも高回転で回る。水枕温度が低いままなので最高速ではないのだが、少しは冷えるだろうと予測した。
CPU負荷を100% 状態でCPU温度が87℃で安定したので、ポンプやファンは正常動作しているのだろう。最高回転まで回せれば確実に冷えるね。
さて、バラして再梱包だ。面倒だ。
初期不良交換後
冷えるようになった。室温26℃、全コア4.4GHzに設定し、負荷100%で10分間連続状態で確認した。ファンとポンプをデフォルトの「安定」に設定してCPU温度は最高77℃で安定している。「静か」では82℃まで上昇したが、サーマルスロットルのスレッショルド値である90℃に達することはなかった。
一方で、水枕の温度はあまり変化しない傾向だった。Ryzen7 5800Xが冷えにくいのは確かなようだ。交換前のH150iは温度センサーが故障していたのではなく、センサーに対するファン/ポンプの制御が正しく動作していなかったのだろう。また、ファンの回転速度をあげるよりポンプの回転を上げた方が効果的だった。つまり、静かだ。360mmのラジエーター効果は高い。
- 結果
室温26℃
マザーボード温度40℃
低負荷時のCPU温度39℃ → 水枕の温度31度
高負荷時のCPU温度77℃ → 水枕の温度33度 ほとんど変化しない